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治先輩の申し出に即答で了承してしまった僕であったが大きな問題が一つだけ残っていた。
そう、可愛い、愛しい鈴佳のことだ。
いつもはラブラブオーラ全開の鈴佳であるが真面目な顔で彼女によく注意されることが一つだけ僕にはある。
僕は考えなしに人の申し出を快諾してしまうことが多い。
彼女が言うにはそのことは僕の長所であり、短所であるとのことだ。
治先輩の申し出を受けたその日の夕飯の後、僕はお代わりしたカレーライスの最後の一口を飲み込んで鈴佳に治先輩の仕事を手伝うために今の会社を辞めるという決断を話すこととなった。
僕の予想はこの話を切り出した途端に寂しがり屋さんで
感受性豊かな鈴佳のことだからてっきり大声を荒げて泣きじゃくりながら、僕の決断に対して猛反対すると思っていた。
「いいよ、よしくんがやりたい事なら反対しない、
わたし。」
意外なことに拍子抜けするような彼女の反応であった。
理解のある鈴佳に僕は心の底から感謝した。
その一方で僕にもう冷めてこの機会に別れようと思っているのかと疑いもした。
でも、その日の夜、隣で寝ていた彼女が声を押し殺して泣きじゃくっている姿を目にした時、彼女の寂しさ、つらさ
そして、僕に対する愛の深さをひしひしと感じた。
そして、今まで以上に鈴佳のことを愛おしく思えた。
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