好きだけじゃ表せない

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定期演奏会当日、定期演奏会の後はOB・OGと現役生で親睦会がある。私たちは17期なので、もう全体でかなりの数になっているのだ。準備は大変だし、これから先もっと増えた時にはどこで親睦会をやるのだろうなどと私は思っている。 あの先輩とご飯を食べに行った日、先輩から言われた言葉は私にとってなによりも嬉しいものであった。内心先輩に嫌われていて疎まれているのではないだろうか、そうずっと思っていたからである。私は迷ったが、たくみ先輩に手紙を書くことにした。勿論他の同じパートの先輩方にも。ただ、たくみ先輩への手紙だけ心からの特別な尊敬と好意を込めて書こうと思った。 定期演奏会は大成功で過去最高のお客さん数であったそうだ。私も恥を忍んではじけて踊り、ピアノパートもしっかりと弾ききった。私自身も大変満足で、親睦会もあっという間に時間が過ぎた。 帰り際になって私は先輩の元へ向かった。歩いてくる私の姿を見て、少しだけ先輩の目が泳いだのがわかった。あの日以降あからさまに避けられていた。 「たくみ先輩、お疲れ様でした。」 「…おう、お疲れさん。」 目をそらす先輩の顔をじっと見て私は言った。 「先輩、私、手紙書いてきたんです。」
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