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そうポツリと呟くと本当に不思議に思えて仕方なかった。先輩の短所だってこれだけ隣にいたんだ、流石に色々知っている。短気で弟に厳しく、楽器の片付けが遅い。人のことをよくからかうし、文句言うことだって多い。人に気を遣うなど論外だろう。何より私的に許せないのは時間にルーズなところである。だが他にも沢山言えるのに、どうしても先輩のことが嫌いになれなかった。
「ちぇ、本当にずるい人。」
独り言を自室の中で言う私は、先輩からメッセージが来ていたことに気づいた。携帯を慌てて開いてみて思わず驚く。
「明日?突然すぎない?」
ご飯食べに行く日にちを明日にしたいそうだった。こういう時にだけ絵文字を使ってきて…こういう時だけ調子良くするのもこの人の短所だ、きっと。
私は了承のメッセージを送ると、クローゼットを開けて明日着て行く勝負服を選び出したのであった。
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