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雑貨屋を出た二人はその後、パンだの酒だの薬だのを買って、街を下って騒がしい通りへと出た。いつの間にそんなに時間がたったのか、日が暮れかかって、鮮やかな夕日が顔を覗かせていた。
彼女は適当な酒屋を見繕うと重い扉を押して中へと入っていった。両手いっぱいに荷物を抱えた彼も彼女に続いた。
「久しぶりだな、ジル。ビール2杯奢ってくれ。」
彼女は店の奥で客と談笑している大男を目ざとく見つけて声をかけた。
「ああ、レイか。もう借金の取り立てか?悪いが今金はないぞ。」
「違う違う。今日は酒を飲みに来ただけだ。金はゆっくりでいいよ。」
「なんだ、そこの坊主は。男か?」
その大男は彼をたぎる獣のようにジロリと睨んだ。
「ヘンなことを言うな。この子は従弟だ。前にも言ったろ、私は男は作らない主義なんだ。」
彼女はこともなげにそう答えた。彼は少し羞恥の表情を見せて言った。
「で、なんのようなんだ。酒を飲むだけならこんなむさ臭い場所に来なくてもいいだろ。」
「いや、ちょっと知りたいことがあってね。」
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