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「いや、そりゃしゃべりますよ。」
勢いに気圧されて、どもるように答える。
「不思議だな...。しゃべるホムンクルスなんて、お母様でも作れなかったのに。」
彼女は目をぱちくりさせながらへーとかほーとか言って、彼を眺め始めた。彼は気恥ずかしくって身を一歩後ろに退いた。それに彼女もくっついてくる。
「だいたいなんですか、ホムンクルスって。」
「君のことだよ。人造人間、とでも言うのか。私が作ったんだ。」
そう言って彼の前であぐらをかいて、また彼をじろじろと彼を眺め始めた。その視線から逃れるように、つらつらと口を走らせる。
「ふざけるのもいい加減にやめてくださいよ。僕は人間です。早く医者を呼んでください。ここ、病院なんでしょ。」
彼は言葉に苛立ちを含ませてそう言うが、彼女は悪びれた様子もなく答える。
「ここは病院ではないよ。ここは私の家だ。」
彼は微笑を携えてやまない彼女に、また問いを投げる。
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