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4話 魔女と宗像式
目が覚めると、そこは見知った天井だった。
心地よい微睡みの中で、一つ大きく欠伸をする。
ふわふわと宙に浮かぶ意識が地に足ついて、意識が目覚めていくのをはっきりと感じる。
「おはよう、式。いい朝だね。」
目元を腕でこすりつけて微睡みを落としながら、声のした方に顔を向ける。
「はは、なんだその顔は。ほんとに朝に弱いんだな、君は。」
そこにははベッドにあぐらをかいて、眼鏡越しにこちらを見下ろす魔女がいた。
膝の上には広辞苑みたいにずっしりとした本が顔を開いて知識を世界に曝け出していた。
「れいさん、おはよ。」
彼は体を起こして、また大きく欠伸をした。上体が猫みたく、ぐにゃりと仰け反る。
「うん、おはよ。」
彼女は丸縁の眼鏡を外しながら答えた。それを本の上に載せる。かさりと乾いた音がする。
「さて、式も起きたことだし、こんないかがわしい本は捨てて、さっさと朝食を済ませよう。」
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