27人が本棚に入れています
本棚に追加
「僕は...何者と言われると困りますけど、学生です。今16歳です。」
「学生、ねえ。随分と良い御身分だこと。」
彼は皮肉とも取れるその言葉の真意を測りかねた。
「じゃあ、なんていうの。名前。」
「式です。宗像式。」
「ム、ムナクトゥア?シキ?」
「むなかた、しきです。」
彼女はまたほーと言って、彼のことをおもむろに眺めだした。
「不思議な名前だねえ。この国じゃ多分君くらいしかいないんじゃないのか。」
彼はその答えに強い違和感を覚えた。
「え...。ここって、日本じゃないんですか?」
彼女はきょとんとした様子で少し考えて答える。
「そのニホムというのがなんなのかは知らんが、ここはヴェールズ王国の近郊都市、カインシュタットだ。国で二番目か三番目にでかい街だ。」
彼女の言葉に嘘は見えない。だがもし本当だとしたら、これは一体何なのだろうか。ずいぶんと手の凝った夢なのだろうか。それとも。
最初のコメントを投稿しよう!