1話 魔女のアトリエ

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「僕は...何者と言われると困りますけど、学生です。今16歳です。」 「学生、ねえ。随分と良い御身分だこと。」 彼は皮肉とも取れるその言葉の真意を測りかねた。 「じゃあ、なんていうの。名前。」 「式です。宗像式。」 「ム、ムナクトゥア?シキ?」 「むなかた、しきです。」 彼女はまたほーと言って、彼のことをおもむろに眺めだした。 「不思議な名前だねえ。この国じゃ多分君くらいしかいないんじゃないのか。」 彼はその答えに強い違和感を覚えた。 「え...。ここって、日本じゃないんですか?」 彼女はきょとんとした様子で少し考えて答える。 「そのニホムというのがなんなのかは知らんが、ここはヴェールズ王国の近郊都市、カインシュタットだ。国で二番目か三番目にでかい街だ。」 彼女の言葉に嘘は見えない。だがもし本当だとしたら、これは一体何なのだろうか。ずいぶんと手の凝った夢なのだろうか。それとも。
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