はじめて食べたあったかいもの

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はじめて食べたあったかいもの

「ずいぶん機嫌がいいんだな。」  雪が舞い散る中、嬉しそうにホットドックをもって、むしゃむしゃ食べている少女に何気なく聞いた。満面の笑みでこちらを振り向いたが、口の端にケチャップがついている。残念な感じを醸し出していた。 「だって、こんなにあったかくて、おいしいもの、初めて食べたんだもん!」  本当にそう感じているのだろう。次の一口を食べ始める、いや待てその一口は大きすぎる。喉に詰まったらどうするだ。と思った矢先に少女がゴホゴホとむせ返っていた。ほら、言わんこっちゃない。と思いながら、ポケットからハンカチを取り出して少女に差し出した。少女はあんたの考えていることなんてわかってるんだからと言わんげに、ジトっと僕の顔を見て、 「ありがとう。」  とぶっきらぼうに返事を返した。どうやら拗ねているみたいだ。まったく可愛げがない。  それにしてもこの少女はなんで、ホットドックで感動しているのだろう。少女の家では、ホットドックが買えないほど貧しかっただろうか。いや、そんなことはない。ついこの前、「マフラー新しいの買っちゃったよ!色違いのマフラー欲しかったの!」と自慢しているのを思い出した。  じゃあ、なんでこんなに喜んでいるんだ?
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