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1 『異世界転移は突然に』
少年はとある田舎高校に通っている。
加陽 夷月 高校三年 十七歳
―――突然だが、正直、俺は運命だとか奇跡だとか一切信じていない。
この高校生活で漫画のような運命的な出会いや、部活動最後の大会での奇跡的な展開からの逆転勝利など起きることは無いだろう。そんなものはアニメや漫画の世界の話。ちなみにアニメは好きだ。
俺はサッカー部だったのだが、最後の試合は怪我のため補欠、対戦相手は強豪チーム、結果は大敗、奇跡は起きず。
相手チームにとって勝利は当然だったようでその試合は見せしめ同然。最悪のテンションで会場を後にする俺は密かに決意した。
奇跡なんて信じない。
そして運命や奇跡といえば・・・明日、いよいよ学園祭だ。
俺のクラスの出し物の準備は完了に近づいている。このままいけば学園祭はきっと成功するだろう。
だが問題はそこではない。そこではないのだ。
この学園祭は青春ラブコメでは運命的な出会いが起きる高校生活最大の機会だ。
青春ラブコメでは。そう、先ほど言ったように俺はそんなものは信じていない。あってほしいと思わないでもないが、無いと思っている。
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