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揺れる
気がついたら目で追いかけてた。いつの間にか、そばにいることが嬉しくなってた。
なのに、だ。付き合って三年も経つのに。
「またいない」
もう、匠ってば。何処に消えちゃったの。携帯に電話しても留守番電話、ラインしても既読がつかない。
考えてみると、最近そんな夜が頻繁にある。まさかの浮気、匠が? まさか、匠に限って。
深夜になると、いつも当たり前のように連絡がくる。
「ただいまー 未結」
スルーなんて棚上げ。あっけらかんと。
「浮気したらお尻噛むからねっ」
冗談混じりに探りを入れてみる。
「姉ちゃんちで夕飯食べて来たんだよ」
匠はたびたび、それを言い訳にした。お姉さんは既に結婚されていて、匠の家とすぐ近くに住んでいるらしいけど、そんなにたびたび遊びに行く程の仲良しさんなのかな。
疑問は浮かぶけど、だってなんにも嘘だという証拠がない。信じるしかないでしょう?
それでも、週の半分くらいは会えていたし、会えた時の匠はいつもかわらず笑っていたし。なにより人の目を気にせずに歩いてくれてた。手をつないで。だからね、愛されてるって信じていられたの。
そしたらあの日、匠の部屋で見つけちゃった。
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