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目が覚めると随分スッキリしていた。
起きた直後にこんなに爽快な気分なのは久しぶりかもしれない。
個室を見渡すと誰もいなかった。
大きく伸びをしながら壁時計を見ると15時だったのでギョッとした。
俺、五時間も寝てたの?
お客の女の子達にLINEも電話もしていない。
今日は17時から客との同伴もあるのにっ……
同伴とは店に行く前に二時間ほど客と一緒に過ごすことだ。
俺のために時間を作ってくれてるのに遅刻なんてとんでもない。
これから急いで家に帰ってシャワーを浴びて着替えて、美容院でヘアメイクをしてもらわないと……
「潤さん起きました?おはようございます。」
慌てて着替えていると蛍ちゃんがのぞきにきた。
「蛍ちゃんっ起こしてよ!」
つい半ギレで言ってしまった。
「起こしましたよ何度もっ。潤さんが起きなかったんです!」
言い返されてしまった。
「いくら?」
「いりません。助けてくれたお礼です。」
「それはダメだよ。払わせて…」
「じゃあまたお店に来て指名して下さい。」
ここはホストクラブかよと突っ込みそうになった。
俺を見てニッコリと笑う蛍ちゃんの純な笑顔に、これ以上払わせてとは言えなくなった。
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