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「次ドンペリじゃないですかっ。あんな酸っぱいもん飲み物じゃないです!」
俺もドンペリは酸味が強いから好きじゃない。
だがホストが客から出されたもんを嫌いだからと拒絶してたら上には上れない。
「いいから飲め。あとで吐いてもいいから。麗子さんの前では絶対吐くなよ。」
「ひどいですよ~俺もモエピンが良かった!」
麗子さんは聖也に任せて別のテーブルへと向かった。
「随分飲まされてたわね。」
この方は小百合さん。
俺の一番古い客でまだ俺がホストに成り立ての頃からずっと店に通ってくれている超太客だ。
今まで俺に使ってくれたお金は合わせたら数千万はくだらない。
「さすがにあの席でずっとはキツいです。今日は小百合さんがいてくれて良かった。ホッと出来るから。」
40代前半であろう小百合さんには弱音を吐いたり甘えたりしている。
彼女は会社を何個も経営していて姉御肌な性格だから、俺から頼られることを心地よく思っている。
もちろん、幾つであろうが女性扱いすることを忘れてはいない。
「私は今日は潤くんとアフターでも一緒だから、他の指名客のテーブルに行ってあげなさい。」
小百合さんは客なのに店全体を見回してすごく気遣ってくれる。
この人がいなかったら入店3ヶ月でNo.1にはなれなかっただろう。
ちなみにアフターとは、店が終わってからお客の女の子と夜の街に繰り出すことだ。
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