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この目には今なにが映っているのだろう────
真っ暗なのだろうか…真っ白なのだろうか……?
そもそも色という概念があるのだろうか……
どんなに近づいても俺の姿が見えることはない。
蛍ちゃんに、今の俺はどう映っているのだろう……
ここでキスをしてしまったら……
全てを知りたくなってきっと最後まで奪ってしまう。
──────俺はホストだ。
ホストになってから付き合ったのはホステスやキャバ嬢等の同業者ばかりだ。
それはお互いに割り切れる関係だから。
相手が自分以外の異性と仲良くしていても、仕事だからと理解し合える……
俺は蛍ちゃんにそれを求めるのか?
苦しませるってわかっているのに……
「潤さん……?」
動きが止まってしまった俺を蛍ちゃんが不安そうな表情で見つめてきた。
「……ねっ蛍ちゃん。ホストを部屋に入れるとこんなことを平気でしてくるから気を付けなきゃダメだよ?」
俺は蛍ちゃんの腕を引っ張り座らせた。
「……騙したんですか?」
「蛍ちゃん口で言っても分からなそうだったから。」
蛍ちゃんがこんなに表情が豊かなのも、目が見えないのに一人暮らしが出来ているのも、本人だけでなく周りからの並々ならぬ努力があったからこそだ。
こんなに一生懸命生きてる子を
俺が軽々しく手を出していいわけがないっ……
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