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「マッサージです。」
「やらしいやつ?」
歌舞伎町が近いし彼女がとても可愛らしかったのでそう思ってしまったのだが、ムッとした顔をされてしまった。
「違います。」
「そっちの方が稼げるんじゃない?なんなら紹介してあげようか?」
親切心のつもりだったんだけど……
彼女は眉間にシワを寄せ、プクっと頬を膨らませた。
その仕草に思わず吹き出してしまった。
「今笑いました?すごく失礼な人ですねっ。」
そう言って彼女は両手を自分の顔の前ぐらいに上げた。
「ちょっとこの辺にあなたの顔がくるように立って下さい。」
言われた通りにするといきなり俺の頬を叩こうとしたので避けた。
「なんで避けるんですか!」
「いや、普通避けるでしょ?」
ホストの大事な商売道具に引っかき傷でもついたら大変だ。
彼女はもうっと言って悔しそうに唇をとがらせている。
なんか反応が素直すぎてまた笑けてきた。
「ねぇそのマッサージって今から店に行ったらしてもらえるの?」
彼女は目を見開いたあと、パチパチと何度も瞬きした。
俺の言葉に動揺しているようだ……ここまでわかりやすい子って珍しい。
「……平日の朝イチで予約入れる方はあまりいないので…出来るとは思いますが……」
「指名も出来る?君にやってもらいたい。名前は?」
「あの……加藤といいます。」
「違う、下の名前。」
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