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「ボクはすごく『よかった』よ?ヨセフは?嫌だった?」 「嫌では……」枕を抱きしめるジュリアンからチラリと覗く、さくらんぼのような乳首。ヨセフは生唾を飲み込み、もう一度咳払いをした。「私も、すごくよかったよ」 「じゃあ、なーんの問題もないよね?ボクもヨセフもよかったんだもん!」 この話は終わりとでもいうように、ジュリアンは両手をパンと叩いた。ベッドから飛び降りると、掛けてあったブラウスを羽織り、時刻を確認する。 「わっ、もう7時だ!大変、急がないと!」 「急ぐって、君はスクールには通ってないのだろう?」 「そうだけど、森には朝の礼拝前に行かなくちゃ……、あっ」 しまった、とジュリアンは口を噤んだ。森?と首を傾げるヨセフの頬にキスをして、何事もなかったかのように身支度を整え、またね、と突風のように部屋から出ていく。 一人取り残されたヨセフは呆然と彼の去ったドアを見つめていた。 思えば、ジュリアンは謎だらけだ。スクールに通わず、日中は何をやっているのだろう。しかしラテン語が読めるのだから、相当レベルの高い教養を受けているはずだ。それに、さっき言っていた、森とは一体なんのことだろう。森、森……。     
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