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とりあえず、私もご飯を食べよう。
そう思って、帰り道にコンビニで買ってきたお弁当を座卓に広げる。と、彼が私のそばに寄ってきて。肩をピトッと私の肩に寄せて座った。
「…何?」
「何って…何が?」
「いや…、何してるの?」
「座ってるだけだけど」
「…近くない?」
キョトンとした顔をする彼。
「いつもこの距離じゃん、」
そりゃそうだけど!
それは猫だったからで!
今あなたはただの人間の男なのよ!
私が内心ドキドキしているのを他所に、彼は私に頭を擦り寄せて来て。明るい茶髪がふわふわと揺れた。
猫だったら、喉をゴロゴロと鳴らしているんだろうか。
「と、とりあえず離れて、」
「何で?」
「たっ、食べにくいから!」
なんとかその大きな身体を引き剥がすと、彼は不服そうに唇を尖らせた。
「いつもは撫でてくれるじゃん!」
「い、いまは状況が違うでしょっ!?」
「違わねェよ、な?撫でて?な?」
上目遣いで私を見つめる彼。
ーーーか、可愛い。
これは飼い主の感情なんだろうか、それとも…?
変な気分になりながら、彼の髪に手を伸ばす。柔らかな茶髪に触れると、彼は満足そうに目を閉じた。
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