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「これ、『おたくのお嬢さん』に」
翌日、外回りから帰って、買ってきたケーキを後輩に渡した。
「すいません。わざわざ」
「いや、ちょうど出先の近くにあったから。中学生女子なんて何喜ぶんだか分からねえし、食いもんが一番いいだろと思って」
「ホントその通りで……年頃のせいかすげー食うんで何よりです。ってか、別に気にしないでください。からかうのが楽しいんで勝手に土産買ってきてるだけっスから」
ムカつくんだか、ありがたいんだか分からないけど、一応礼は言った。
「……サンキュ。美味しかったって喜んでた」
「大丈夫だったんスか?」
「なにが」
「飲むとヤバいって言ってたのは」
一瞬昨夜のあいつを思い出してしまって視線が泳いだのを見逃さず、奴はニヤリと笑った。
「あー、ヤバいってそういう意味ですね。吐くとかじゃなくて可愛い方」
「なんも言ってねーだろ……」
「顔に出てます。そんなに可愛いなら、さっさと籍入れたらどうです」
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