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「おう。お疲れ」  こいつが家に来てから、朝は一緒に乗せて行って、帰りも時間が合うときはこうして迎えに来ている。 「飯どうする。何か食いたいモンあるか」 「うーん……」  助手席でシートベルトを引きながら涼子は考える。  初めてこの車に乗せた頃は、緊張してたのかぎこちなく見えたが、今は自分ちの車みたいに馴染んだ様子だ。 「お昼は会社のお弁当だったし、何でも大丈夫ですよ。椿田さんは?」 「俺も別に。そしたら、今日は外行くか。ここんとこ作ってもらってたから」 「外だと飲めないけど、いいんですか?」 「別に、帰ってから飲みゃいいし。……お前飲みたけりゃ一人で飲んでもいいぞ」  からかうと一瞬黙って、それから首を振った。 「遠慮します。椿田さんと二人だけの時以外は飲みません」 「……そりゃ、完璧な答えだ」  煙草を灰皿に揉み消して、左手を伸ばした。  頭に手を置いて 「いい子だ」 その手を顎に持ってくると、くすぐったそうに涼子は肩をすくめる。
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