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「シンデレラポイントは人から認められない善行をした人に与えられるもの。いわば人間界からのお返しです。だから貯めきれる人なんてそういないんです。だから」
照れくさいのか耳まで真っ赤にしてシーラが呟いた。
「三つ目はちゃんとしたの、叶えてあげたい。」
自然と口角があがるのを抑えられず、にやにやとシーラを見つめる。
「な、なんですかにやにやして。気持ち悪い。」
「いや、可愛いとこあるなと思ったらつい」
ふんっ、と顔を背けるシーラの耳はまだ赤い。ふと気がつくと、彼女のうなじに小さな擦り傷が出来ていた。
「なあ、それ」
自分の首元をたたいて示すと、シーラは今気がついた様子で笑った。
「あ、今朝急いで引っ張ったから、ネックレスのチェーンが擦れたみたいです。全然痛くないのでご心配なく。」
改めて彼女を見ると、今朝から比べて随分あっさりした見た目になっていた。ネックレスも腰元のリボンもオレのための魔法に使ってしまったし、被っていたティアラもどこかへやってしまったらしい。おまけに擦り傷。
「三つ目、決まったよ。」
「なんですか?!」
「シーラの服も体も、今朝と同じ姿に戻してくれ。傷とかも治してもらえるか?」
ばっと振り向いたシーラの顔が、嬉しいような、悲しいような、ないまぜの表情に歪む。
「私…本部に戻ったらきちんと服支給されます。」
「傷は?」
「それは自然に治りますし」
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