お返しはシンデレラ

8/9

3人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
「じゃあ駄目だ。おじさん、今すぐ治して貰わなきゃ嫌だね。」 困ったような、呆れたような顔でシーラが笑う。 持っていたステッキをくるくると回すと、光の粉が降り注ぎ、見る間に彼女の姿を元通りにした。 「三つ目のお願い、完了です。」 その言葉とともにガラスの靴の最後のダイヤが消え、靴自体も透けて消えていった。 慌ててシーラの方を見ると、案の定彼女も消えかかっていた。 「また、ポイント貯めてください。そしたら今度はきっと、あなたの願いを」 叶えさせてください。 風の音にも聞こえる細い声音で告げると、シーラは泡のように弾けて消えた。 「ありがとな、シーラ」 どうやってポイントを貯めるんだとか、そもそもキミが何なのかとか、色々聞き損ねたけれどまあいい。 根拠はないが確実に再会できる気がしていた。 「さて」 魔法が解けた代償か、裸足になったオレはひとまずコンビニに向かった。 とりあえず家に帰るまでの繋ぎだし、安いサンダルでも、としゃがんで棚を物色していると、ふいに声をかけられた。 「篤人くん、どうしたのそれ。」 裸足を指差す元妻。 「うん、まあその。色々?」 「何それ。まあいいや、はいこれ。」     
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加