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お返しはシンデレラ
「シンデレラポイントが貯まり切ったので、景品お渡ししますね。」
シンデレラポイントとはなんぞや。
という疑問は飲み込む。聞くと笑われてしまうかもしれない。
コンビニでも貯まるレンタルショップのポイントカードを、20そこそこの若い店員から受け取る。きっと自分が知らない間にこのカードについた機能なのだ。
そう無理に納得して、疑問を飲み込む。
「おお、ありがとう」
「日頃のご愛顧のお返しなので、よろしければどうぞ。」
そう言って渡されたのは、ガラスの靴だった。割れないように丁重に箱と緩衝材に覆われているが、前面の窓から形が見て取れる。40の自分が持って歩くには不相応だ、とは思いつつも、せっかくの好意を素直に受け取ることにした。
「ありがとうございましたー」
「いや、こちらこそ」
軽く会釈してカウンターを離れ、店を出る。少し勢いよく歩けばシャラシャラと音を立てるガラスの靴には肝が冷えた。慎重に持ち帰らねば。なるべくそうっと足を運んだせいか、家に着く頃には0時を回っていた。
マンションの1DKの一室には静けさが充満している。流石に隣人も就寝したようだ。
ネクタイを緩め、箱を持ったままベッドに腰掛ける。
「…開けてみるか」
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