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世界が終わる夢を見ました。街や森に火が放たれ、人々の悲鳴や嗚咽、動植物の嘆きが聞こえ、赤く黒く燃え上がる空が眼前に広がり、それはとても恐ろしい光景でした。お姉さまもお兄さまもそばに居ませんでした。物音がすると目の前に顔が判別できない人間のような黒いものが4、5人立っていて、私を取り囲んで一言、「何もかもお前が悪いんだよ」と、そう言いました。特に攻撃をしてくる様子もなくただわたしの手を掴んで立たせどこかへ連れて行こうとしました。掴まれた部分が、強く握られたわけでもないのに今まで感じたことも無いぐらいの痛みを感じて直ぐに解こうとしましたがとても抗えず「いや、いや」と泣きじゃくっていました。
そのまま街の中を、悲嘆と血液と死体と地獄の中を、恐ろしく長い時間歩き、海岸に着いた時、黒いもののうちの1人がわたしに首輪と手枷のようなものを嵌め、「いい人間であるように」と、そう囁いて海の中へと歩き始めました。何も出来ないわたしはそのまま黒いものたちにつれられて海へと歩きだし、魚でもないわたしは海の中で息ができるはずもなく、あぁ死というものはここまで恐ろしいものなのだと、今まで感じたことがない感情を抱きながら生を諦めました。
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