小学二年生の男の子

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私は中学校のお友達のパパ達が開催したイベントに受付のお手伝いとして来ていた。 イベントと言うのはミニ四駆の大会だった。 速そうな風を切るような音と共に大人達の笑い声が混じる。 楽しいは楽しいが、なんだろう自分がやってるわけじゃないしなあ。 だから、可愛い女の子の絵を小さい紙に描いてる。 小さい紙にサインペンで、ウエーブの髪、煌めきのある目を描いたりして可愛い女の子を整えていく。 すると、脇にある小さな人の気配に気が付いた。 横を見るとまだ幼さの残る男の子二人が立っていた。 一人は丸っこい短髪の子、もう一人は、ほっそりしていて、髪の長い子。 突然、丸っこい子が私の書いた絵を引ったくる。 そして、近場にあったペンで落書きしようとした。 私はカッとなって「やめてよね!」と言って取り上げた。 少し大人げなかったかも知らないけど、私は自分の絵を汚されるのがいやだった。 中学校では美術部に入っていて、どんな絵でも一つ一つ大切な作品だから、たとえ子供のイタズラだとしても他人の手が入るのはいやだった。 当然丸っこい子は逃げていった。 髪の長い子だけのこった。 彼はじっと真ん丸な可愛らしい目で私の絵を見ると、その辺にあった紙に何か書き始めた。 そして、目も合わせないまま、その紙を私に渡し走り去った。 手紙には"えかわいいね"っと一言書いてあった。 目も合わせなかったところを見ると少し照れたのかな? あの子、なかなか可愛いやつじゃん。 その後もその二人組はやってきた。
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