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丸っ子が"下手だね"とかいやなことを書いて怒られては逃げて行くのにたいし、髪の長い子は、"なにしてるの?"とか"もっとかいてほしい"とか、社交的な文面を目を合わせずニコッとした顔で置いていった。
それが私にとってたまらなく可愛かった。
私はたまらず一緒に受付していたイガグリ頭のおじさんに話した。たまらなく可愛いんですよって!
当然、隣にいたのでイガグリおじさんも一部始終を見ていた。
イガグリおじさんはアゴを撫でながらニヤニヤして答えた。
「あの男の子、君に恋しているな」
えっ、まさかぁっとその時は思った。
しかし、次の手紙を見て驚いた。
そこには"きみのことすきかもしれない"とかかれていた。
もちろん目も合わせず置いて走り去った。
その子の仕草が可愛い過ぎて少し胸がときめくのを感じた。
おじさんは言う、あの子の初恋かな?って。
なんだろう、そんなことを言うわれるとちょっとはずかしい。
それからの彼は、ちょっとおかしかった。
近づいてきたと思ったら走り去ったり。
たぶんトイレから帰ってきたのだろう、向いの扉から入ってきてパッタリ目が合うとそのまま扉を閉めて引っ込んじゃったり。
右に行ったり左に行ったり……。
可愛いくて仕方がない。
そんなことを何度かくり返し、ついにまた手紙が来た。
"ともだちとしてすき"
しかし、それを見たイガグリおじさんはこう言う。
「あの頃の男の子が恋するのは、いろいろ大変なんだよ。回りからおちょくられたりするのが恐いんだ。だから、押さえ込もうとしているように見えるな」
長い髪の子は、髪を宙に浮かし未だに右へ左へと走っている。
時おりチラチラと私に見せるその表情は真っ赤な笑顔に見えた。
そして、もう一通手紙が届いた。
"やっぱりすきだよ"
私は、手紙を返した。
"純粋にすきなの?"って。
私は、中学一年生で、その子は小学生二年生で……私なにかいてるんだろう、とは思ったけど……ちょっと気になったから。
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