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降り注ぐ七色の光。
その時、僕は夢を見ているのだと思った。
だが皮膚を切り裂くような冷気や、傍に横たわる仲間たちの微かな体温。
そして何より、時の経過と共にゆらゆらと形を変える光の幕が、これが現実であると僕に強く訴えかけた。
その時僕の体を襲った震えは寒さからくるものではなく。
天を仰げばさながらそれは神の通り道。
天から伸び降りたそれは、地上を掠めることなく天上の彼方へと消えていく。
そのあまりの神々しさと現実離れした光景こそが、僕の身を歓喜に震わせたのだ。
──ルート・フローレンス著『旅の果て』終章より
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