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【借金漬けの男】
◇
俺は気ままに汽車を降りた。
するとそこはパブロという小さな町だ。
オイルランプがきちんと街灯として置かれていることに、思わず驚いてしまうくらいには小規模な町だった。
俺は、ここで降りようと気まぐれに決めた数分前の自分を褒めてやりたくなった。
こうした雰囲気の町には大抵、俺の執筆意欲を燻る人材の一人や二人が居るからだ。
人通りもまばらでどこか活気の無い、恐らくメインストリートであろう通りを俺は颯爽と進む。
時刻は日も暮れたばかりの夜のはじめ。
町は橙色の優しい明かりが灯された頃。
俺は自らの勘だけを頼りに宿を探すべく踵を鳴らす。
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