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砂の海は枯れ果て、どこからともなく水が湧きだし大きな海ができた。
水……冷たい……大地は温かい……でも足りない……何が足りない?
周りを見渡してみても草花と海しか見えない。
温かいもの……フワフワしてるもの……?
温かな草花の大地に小さな動物達が生まれた。
抱き締めると腕の中に温かな温もりを感じる。
長い耳に白い身体……可愛い……ムギュッ
苦しいのか小さな動物は腕から抜け出すと、何処へともなく駆けて行った。
……寂しくなんか無いもん…………?寂しい……?
海へと歩いて水面に映る自分を見る。
白くて長い髪、透き通りそうな白い肌、赤い目、小さな身体、細い手足。
周りを見てもそんな生き物は居ない。
寒い……寂しい……お友達が……仲間が欲しい……
…………しかし何も起きなかった。
なんで?
どうして?
考えても答えは出てこない。
誰も答えてくれない。
私は……一人ぼっちだ……
哀しくて……苦しくて……涙が出てきて……お空を見上げると白く輝く大きな物が見えた。
あそこなら……何かが……私と同じ誰かが……居るかな……?
「行かないと……」
口から漏れたものが何かも分からず、私は空へと手を伸ばす。
身体が浮き上がり地面から足が離れる……
草花が萌え広がっていた大地は枯れ果て、走り回っていた小さな生き物は砂へと帰った。
海は全てを飲み込んで砂へと帰り、また岩と砂だけの世界になった。
でも今はそんな事はどうでもいい。
あそこに行かないと……
身体は浮き続け大きく白くて丸い物に近づく。
背後を振り返ることなく。
やがて辿り着いた少女は、白い砂と岩しかない大地に立った。
誰も居ない。
何も無い。
なら……また創ればいい。
少女は望んだ。
温かな草花を。
冷たい海を。
生き物を。
仲間を。
友達を。
世界に色が溢れ満たされていく。
生き物達が走り回り、少女を温めた。
少女は、ふと空を見上げた。
空には相変わらず小さくて白くて丸い物が見えていた。
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