「いってらっしゃい。」

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「え!?明日から!?」 「うん。」 「・・・で、でも早くない?まだ私たち結婚もしてないのに・・・・・・。」 はやとは至って冷静で私はいきなりのことでよくわからなくなる。 だって、会社ってことは明日からはやとは家にいなくて要は、私だけなわけで。 「うん。俺もね。そう言ったんだよ。でもね?」 「・・・?」 はやとは深く深くため息を吐き捨てる。 私はその姿に首を傾げた。 「父さんが聞かなくてさ。」 「え・・・・・・。」 はやとは「ごめんね。」と言って笑った。 たしかはやとのお父さんはすごく若く見える人で40歳が25歳くらいに見えちゃうんだよ。 話し方も声も顔も少しはやとと似てる。 違うとするなら髪色とか雰囲気みたいな性格かな? 「父さんがさ、早く継いで孫を見せてくれってうるさくって。」 継ぐのはわかるよ。 はやとは私と同様で1人っこだからね、でも......。 私はその瞬間、思ったことがぽろりと口から滑り落ちた。 「ま・・・・・・孫・・・。」 「え。」 孫ってつまりは......そういうことだよね? 間違ってないよね。 私はぐるぐると妄想してしまってループする。 気づけば顔中が赤い。 私は頭を抱えたくなった。 「楓ちゃん?安心して。」 「・・・え・・・?」 はやとは優しく私に微笑んだ。 私も自然と安心できた。柔らかく笑うはやとにつられて私まで頬が緩んだ。が、 「ね。」 真顔で恐ろしいことを言ったこの人はきっと尋常じゃない。 私の安心は一瞬にしてぶち壊された。 今は、ということはつまりはいつかはなるってことでしょ。 もちろんどうしても嫌という訳ではないけど。 「・・・ど・・・・・。」 震えるなかで私が発した言葉は。 「ん?」 なぜか震えている私を見てそれはそれは満足そうに、にんまりと笑うはやと。 「・・・このドSーー!!」 「ぷっ。ハハハハ!!」 楽しんでいるこのドSの塊である混沌。またはドSの擬人化。 誰か助けてください!!
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