プロローグ

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正直なところ、啓吾との将来についてきちんと考えたことは一度もなかった。 だって、わたしはまだ学生で、21歳の誕生日も迎えていない。社会に出る準備をやっと始めたばかりだ。 彼のことが好きじゃないとか、そういうことではなく、要は子供なのだ、多分。 「うん。ダメかな?」 でも、そんなお子様なわたしとの将来を、啓吾は真剣に考えてくれている。 嬉しかった。 まるで優しい兄のような啓吾と過ごす時間は、ぽかぽかした陽だまりのように穏やかで心地いい。 身を焦がすような恋ではない、けれど確かに幸せではあるのだ。 休日の食卓で、彼と子供と3人で笑い合う、平凡で幸せな日常を想像してみた。 ……うん、悪くない。きっと幸せだ。
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