口が裂けてももう言えない

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「すっげ。まじホームラン」 「おー完璧。人ん家の畑に入ったこと以外は…」 「そーだなー…」 俺はやっぱり こいつが好きなんだ 「取ってくるわー」 「おー」 この気持ちが間違いなんて 思わない 友達としてじゃなくて 恋愛対象として見られたい きっと ずっとずっと 伝えられることを夢見て また 泣いてしまうのかもしれない 「ただいまー」 「おー、お帰り」 その笑顔が大嫌いで その笑顔が大好きで でも俺は 一度失敗してるから 伝える勇気はない 「…本当に…好きなのにな…」 「なんか言った?」 「…なんでもねーよ」 これが 初恋だったら なんて 思ってしまった それくらいには好きってことを 少しくらいは知ってほしい 伝える勇気もない俺には 願う資格もないだろうけど 「…好きなやついるわ」 「お、マジで?誰?」 「…泰成のこと好きだよ」 きっと 「…だからさー」 こんなことを言っても 「俺が聞いてんのは」 お前には 「likeじゃなくてloveの方だって」 一欠片も伝わらないんだろう 初恋だったら 良かったのにな
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