バレンタインデーの午後に・・・

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「何、それっ・・・・。」 「君に決まってるじゃん。」  あの子は返事をする代わりに、自分からキスをしてきた。  あの子の唇は、とろけるように甘い味がした。  僕にとって、あの子自身が極上の甘くて美味しいチョコだった。  初めて見るあの子の裸身は、たとえようがないほど美しかった。  ベッドでの行為は、予想より激しい。  ベッドでの行為が終わった後、コタツに戻り、僕が入れたコーヒーで あの子の手作りのチョコを一緒に食べる。 「私、今の大学やめるんだ。」  いつも、この子の言動には、驚かされる。  それが新鮮で、あの子の魅力でもあった。  詳しい理由は教えてくれなかったが、当然引っ越しもするから、 今までみたいにお互いの部屋を行き来することも、デートすることも できなくなる。 「そう、寂しくなるね。」 「本当。」 「本当だよ。」  もう一回、抱きたくなったけど、それは我慢した。  時間まで、あの子と色々話をした。  そして、あの子は笑って帰って行った。  その日の彼女との食事、女のカンというか、機嫌をとるのに、 めっちゃ苦労したのは言うまでもない。  その日は、僕の部屋に泊まったんだけど、彼女はそれは激しく、 僕、死ぬんじゃないかと思ったくらいだった。  その話は、それくらいにしておく。  あの子との関係は、それ以上、深まることもなかった。  十分、深まったじゃねえかとツッコミを入れられそうだが、 僕の気持ちに変わりは無かった。  いや、正直、彼女に対する罪悪感があった。  今まで、あの子の他にデートした子は沢山いたけど、 一線を超えること、ベッドの関係はなかったから。  それが、僕なりのポリシーだったなんてね。  彼女と別れ、あの子と遠距離恋愛を始めるなんて 僕には考えられなかった。  僕、彼女が、好きだったから。  それは、あの子もわかっていると思う・・・・。  結局、あの子とは、それっきり。  大学のキャンパスや学生食堂、講座なんかで顔を 合わすことはあったけれど、視線は絡み合うことは あったけれど、二人っきりで会うことはなかった。  ホワイトデーの日も、朝から一日中、彼女にがっちり 捕まっていたせいもあるけど、僕もそれでいいと思った。  チョコって甘いけど、とけてなくなるもんだよね。
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