1A、 東京サバ女の誕生

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 何も悟りきっているわけではない。 彼女だって悲しかったり、嬉しかったりはある。 でもそれを表にあらわすのが、人よりちょっと苦手なだけだ。 「大学出たら、どうするの?」 と聞いてきたのは、同級生の西さんだ。 サバさんたちは学校のベンチに座って、お弁当を食べている。 もちろん自分で作ったものだ。 「え、ニシンは?」 とサバさんは聞き返す。 「そうだな、東京、出る。」 とニシンは言った。 「東京か。」 ちょっと空を見上げて、サバさんは東京について考えた。
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