1A、 東京サバ女の誕生

4/5
前へ
/418ページ
次へ
「人はいつか死ぬ。」 と言ったのは、祖母のヨシコだ。その目には涙が見て取れた。 「わからない。」 とサバさんは答えた。 「なんで。」 と高校生の弟がつぶやく。 父親が死んだときとまったく同じリアクションだった。 死を目の前にしたら、すべての出来事が冷たく思える。 もしくは、バカらしく見えた。 「残念です。」 と言ったのは義父の久慈等(クジラ)さんだった。  義父といっても母と籍は入れていない(愛人?)。 佐々場というのは、母親の旧姓である。 両親が離婚してから、サバさんはサバさんになった。 その前は亀田という父親の名前だったのだ。
/418ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加