1A、 東京サバ女の誕生

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1A、 東京サバ女の誕生

 彼女の名前は佐々場孝子といった。あだ名はサバさん、ターコ。どちらにしても魚介系。茨城県の潮来市出身の彼女は、東京暮らしに憧れてきた。引きこもりがちの冴えない弟が一人だ。姉である彼女自身は、サバサバと何でもこなす。それは東京暮らしで拍車がかかった。  眼鏡がトレードマークの彼女は、コンタクトレンズなどといったものに頼るつもりもない。高校を卒業したら東京に出るつもりだったが、誠心女学院という近くの短大に入った。父親が「大学くらい出ておいたほうがいい。」と言ったのだ。  その父親は彼女が大学を卒業する前に交通事故で亡くなった。すでに両親は離婚していたから、母親は特別悲しんだ様子も見せなかった(もちろん喜びもしなかったが)。  母親は新しい男の人と再婚していた(事実婚だ)。もしかしたらそれが理由で離婚したのかもしれない。そこのところをサバさんはよく知らなかった。弟のヒロトが「なんで?」とか言っていたのは覚えている。だけど彼女は「一期一会」が人生だと割り切っていた。 image=513117637.jpg
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