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いやぁ、若いってすごい。まぁ、私が彼女らのノリについていけないのは、若さ云々の問題ではないけれど。
元気な一年生の三人をふと思い出したものだから、あぁそうか、と私は手を打った。
「こんなことなら、一年の三人娘も誘ってあげれば良かったかな?」
「え?」
「あぁでも、いくら女の子でも複数形じゃ、ついて来てくれないのか」
「別に誰でもって訳じゃなくて……先輩だから来たんですけどね」
彼がぼそりと洩らした言葉に、私は大いにたじろいでしまった。隣を歩いているのだから、もしかしたら胸の跳ねた音を聞かれたかもしれない。
……あぁ、もう! 違う違う。都合のいいように解釈しちゃダメだってば。
「ええ~私ってそんなにふらついてた? 自分ではそこまで酔ってないつもりなんだけど」
私はおどけた調子で首をかしげた。彼はそれ以上、何も言わなかったが、その横顔は拗ねているようにも見える。私は自分の解釈が間違っていることに薄々気付いていたが、だからと言って頭の中の認識を訂正するような度胸は無くて、あらぬ方へと目を向けた。
互いに無言のまま角を曲がると、自販機はすぐ目の前にあった。
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