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三角の耳の生命体は、心底、面倒そうな表情をしている。
「しかし、みっつですか」
「持っていけんのか?」
「頑張れば――やってみましょう。次の機会なんて、無いと思いますから」
「そうか! 頑張ってくれ!」
「貴方もですよ。でないと、良くない方向で報告しますからね」
「……わぁったよ」
三角の耳の生命体は、がっくりと肩を落とす。
「はじめましょう」
ふたつの生命体は、両の手を合わせて、何かを念じ始めた。
すると、先ほどと同じ様に、生命体の近くで空間が揺らめく。
「しっかりやって下さい」
「やってるっての!」
「嘘です。貴方ならもっと出来るでしょう。良いんですか、報告は私が――」
「わぁったよ!」
三角の耳の獣は全身に力を込めた。
すると、空間の揺らめきが大きくなる。
「初めからそうしていれば良いのです」
「もう無理だかんな!」
「分かってます」
その直後、空間に輪っか状の穴が空いた。
その穴からは、森のようなものが見える。
「かぁー、もう無理だわぁ」
「そうですね。思っていた以上です」
三角の耳の生命体は、全身の力を抜いて大の字になり、空間に身を放っていた。
丸い耳の生命体は、ひざに手をつき、肩で息をしている。
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