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プロローグ
地平線もない。
空と呼べるものもない。
地と呼べるものもない。
そんな不思議な空間。
明るくもなく、暗くもない。
真っ暗では無いから、目を凝らせば見えるが、かといって、明るくもないから、辺りの様子は気配を探って進むしか無いような空間だ。
そんな空間に、2つの生命体が居た。
けれど、生命体と呼んで良いのか定かではない。
「ここも喰わちまってんなぁ」
「そうですねえ……と言っても、ここだけではなく、星のほとんどが、ですけどね」
「もう、無理なんじゃねぇのか?」
「そう言いましても。我らが主はまだ諦めてませんので」
「はあ。また、面倒な役回りになっちまったもんだ」
ふたつの生命体は、上下左右もわからない空間で、宙に浮きながらも、平然とした態度だ。
そして、話している言葉は、日本で扱われているものと同じだ。
見た目は、明らかに人間ではない。
覆われた毛皮と、長く伸びた口元と、その上部には鼻がついている。
そして、可愛らしい耳としっぽが生えている。
骨格は、四足歩行の動物と異なるのか、直立が出来る。
そして、人間のようなポーズを取ることも出来る。
「全然見つからねえなあ」
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