プレリュード

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西松はレジ横に置いてあった映画のキーホルダーをレジに放り投げた。 時折西松はこうした態度で接するので扱いに難しい。 「それは販売用なので社長に叱られますので。無理なんですよ。」 「あ?なんでやねん!お前ケチやのうセコイねん!」 「チッ..」 無意識に小さく省吾が舌打ちをした瞬間を西松は見逃さなかった。 西松は相手の態度や言動に対して異常なまでに拘る習性があった。 自分には途方もなく寛大であるにも関わらず。 「省吾!お前、表出ろ」 「え、何でですか....嫌ですよ仕事中ですし」 「ええから出ろや」 何の抵抗も出来ず黒いエプロンを外しながらカウンターから出ると 西松は手招きして自動ドアの外で待っている。 省吾は高校時代は田舎育ちで所謂喧嘩というものには慣れていた。 相手を呼び出して最初に文句を言い合う。 やがて殴りあいとなり強いものが勝つ。 勝敗が決まれば男らしく互いに謝る。仲良くなる。 「ドスッ.............」 省吾の前をゆっくり歩いて店の自動ドアから出て 4段程の階段を降りた所で急に西松は省吾のほうに身体を回転させ 同時に省吾の腹部に真っすぐ拳をえぐり進めた。 それは一瞬の事だった。 省吾は1発で倒れこみ 想像し難い腹部の痛みを感じるのだが立ち上がれなくなった。     
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