9人が本棚に入れています
本棚に追加
一瞬の出来事で感覚と思考が乖離したまま
地面を自分の身体が擦る感触と音だけが聞こえる。
「お前なあ、偉そうやねん!何が武道館やねん!
お前みたいなもんが何やったって無理じゃ!ボケが!」
(武道館とか関係ないだろうが・・・・なんだこいつは・・・・)
「立ってみいや!相手になったんで!ヘタレか?」
(いきなり殴るとか卑怯すぎる・・・・・)
「うぅぅ............」
「もう偉そうにすんなよ!わかったな!弱いんやからよ!」
そう言い残すと店内に戻りアルバイトの美咲から
レンタル品を受け取ると乗り付けていた真っ赤なアルトで去っていった。
(くっそ.....しかしむちゃくちゃパンチ重いわ....強すぎ)
様子に気づいた美咲が店から出てくると省吾に駆け寄る。
「ちょ、大丈夫なん?あの人、気ぃ付けなあかんやん!」
「いや、まあね。別に。」
「どこやられたん?顔は・・・普通やね」
「いや、なんもないし」
「大丈夫やったらええねんけど!ウチ、休憩行ってええかな?」
「あ、どうぞ」
西山美咲19歳。地元育ち。地元公立高校卒業後K大学に通っている
美咲は今年のバレンタインに手紙と共に省吾に告白を試みた。
屈託のない小柄な美咲は誰からも好かれる人懐っこさと
最初のコメントを投稿しよう!