8人が本棚に入れています
本棚に追加
本当は、君じゃなきゃ
「私と取引しない?」
一年前、彼女のユイカから言われた言葉。
「私には好きな人がいる。あんたにもでしょ?」
「だから何だよ」
「どっちかが本命と付き合うまで付き合わない?」
「は?」
「だって、嫉妬させたいでしょ?」
彼女曰く、俺はユイカの好きな人にそっくりらしい。
この時、揺らいだのは頭の中をずっと独占するあいつ__結のせいだ。
くだらない理由だが、ユイカと付き合えば嫉妬させられると思ったのもあるが、結と名前が似ている彼女の名を呼ぶことで、ぽっかりとあいた穴を塞げるような気がしたからだ。
取引として付き合った。
それ以上でも、それ以下でもない。
最初のコメントを投稿しよう!