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どんよりと曇った空を映すように、今日の海は綺麗な青色ではなく沈んだ灰色だ。窓の外に広がる空と海を眺めながら、天音は大きくため息をついた。
「お姉ちゃん、どうしたの?」
「お腹すいたんだったら、小春の持ってきたお菓子あげようか」
「ううん、お姉ちゃんはいい。小春と夕月で食べて」
差し出されたお菓子を断ると、妹たちは少し首を傾げながらも嬉しそうに封を開けてそれを食べ始める。無邪気に笑っている浴衣姿の二人を見て、私も頬を緩めた。
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