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「あふっ、あっ、く、ふあぁっ……! あああっ、もうだめっ、もうだめぇっ!」
「我慢をするな。好きな時に果てろ」
「っ……! ぅああっ、もうやらぁっ、やぁ、はぁんっ……! あ、ああああっ!!」
ずちゅっと卑猥な音を立てて、男の舌が勢いよく引き抜かれた。その瞬間、私はあられもない声を上げて達してしまう。
こんな風に恥ずかしい姿を見られて、悔しくて仕方ない。それに、この男の愛撫に気持ちよくなってしまう自分が情けなかった。
それなのに、私の体は物足りなさを感じて震えている。その証拠に、もう空っぽのはずの膣内が何かを求めるようにひくひくと収縮を続けていた。
「もう大分解れたぞ、天音。分かるか?」
「ぅ、あ……っ、わ、わかんなっ……」
「くくっ、好すぎて分からぬか。無理もない、中にも俺の唾液を染み込ませてやったからな」
そうだった。そういえば、この男の唾液には媚薬効果があるとか何とかほざいていた気がする。先ほどから陰部がじんじんと熱いのは、そのせいだったのか。
呆けた頭で、自分が今とんでもない状況に陥っていることだけは理解した。そしてこの淫靡な行為が、このまま終わるわけではないということも分かっている。
放心状態のまま、目線だけを動かして男を見つめる。
身に付けている浴衣はそのままで、だらりと力の抜けた私の腰をまたいでいる。浴衣の裾から覗く脚や、袷から見える胸元はやっぱり男性のものだ。普段見慣れない男らしい体つきに思わず見入ってしまう。
私は、これからこの男に抱かれるのだ。もう腹を括ったつもりだが、我が物顔で私の体を撫で回す男の手がなんとも腹立たしい。それにおぞましい舌を仕舞っている口元は不敵な笑みを浮かべていて、憎らしいことこの上ない。
それなのに、私を見つめる金の瞳だけは、やっぱり優しい光を宿していた。
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