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「どうした、天音。難しい顔をして」
「あ……っ、な、なかに、出していいなんて言ってない……っ」
「なんだと? 嫌だったのか」
「い、嫌っていうか……せめて許可取ってからにしてよっ」
「そうか。それはすまなかったな」
昨夜は頑なに謝るのを拒否したくせに、今日はびっくりするくらい簡単に頭を下げた。そんな凪の変化を少し嬉しく感じつつも、やっぱり疼きは収まらない。今さっき男を知ったばかりだというのに、私の体はすでに凪を求めているのが分かる。
しかし、私のそんな複雑な胸の内も、凪にはすっかり見透かされているようだった。そして薄く笑いながら私を抱き起こしたかと思うと、もう一度熱く滾った一物を私のひくついた秘穴に押し当てる。
「今度は、お前に聞いてから吐精してやる。それなら文句あるまい」
「っ……、も、もういっかい、するの?」
「ああ。お前は知らぬだろうが、夫婦の契りは丸一日以上かけて行わねばならん。まだまだ始まったばかりだぞ」
「ひ、あっ……! うっ、うそっ……」
「今度は加減せぬからな。簡単に気をやってくれるなよ」
不穏な言葉に怯えながらも、もう凪に対する恐怖は無かった。恐怖よりも、彼に優しくされることへの喜びの方が強くなっていたからだ。
先ほどよりも幾分か熱くなった凪の手のひらに、自分の手をそっと重ねてみる。それに気付いた凪が少し照れたような顔をするから、私は自分のこの運命を心から受け入れられるような、そんな気がした。
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