友達

2/5
27人が本棚に入れています
本棚に追加
/61ページ
少女が次に向かったのは、城から少し離れた神社だった。 実吉は次第に少女に心を開いていた。 まるで嵐かのような行動力、自分の立場を意気がらない清々しさ、そしてなにより、笑うと太陽のように眩しい笑顔に、暗闇の中に光を見つけたような気分だった。 最初は流されるままについてきて、正直めんどくさいと思った。でも、久しぶりに走った。久しぶりに笑った。久しぶりに、空を見た気がした。 実吉は、聞いて欲しいと思った。自分のことを知って欲しいと。受け入れて、欲しいと。 そして、階段を先に先にと登っていく少女に口を開いた。 「さっきの質問だけど、」 すると、「ん?」と顔をこちらに向ける少女。 「聞いて欲しいんだ。何故、僕が君の城に居たのか」 真剣な表情の実吉に、少女は「 話してくれるの?」 と笑い、一段一段降りて来る。 同じ段になると、2人で腰を下ろした。 ふー、と息を吸い、実吉は話し始める。 「僕の家族は、殺されたんだ」 そして、あの日の出来事を話し始めた。 すると、 「 もういい、もういいよ、実吉 」 と何故か少女が目に涙を溜めながら手を握っている。     
/61ページ

最初のコメントを投稿しよう!