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それから数刻ほど5人は遊び、空が茜色になるとそれぞれの家路に着いた。
城までの道中、梅は弦や六助、花代との出会いから今までのこと、城では何をして過ごしているのか、昔兄としたいたずらの話などをした。
その話を聞く実吉は、行き道とは違い柔らかな表情を浮かべていた。
そして城に着くと、一国の姫が城を抜け出したのにも関わらず、家来達は騒ぎ立てることなく、「姫様、おかえりなさい 」と笑顔で迎えた。どうやら、こっそりと護衛に着いていたものがいたらしく、梅や実吉の後に3人門をくぐっていた。
「梅、またお前は勝手に外に、せめて学びの時間が終わってからに、、、!」
やれやれと呆れたように溜息を吐きながら、帰ってきた娘を迎えた兼正は、梅の後ろを見て息を飲んだ。
そして、
「 そうか、実吉も一緒だったか。そうか、そうか、、」
と娘の後ろに立つ実吉の初めて見る柔らかい表情に涙したのだった。
「 父上!?梅はそんなに父上を悩ましておいででしたか!?それとも何処か痛むのですか!?林道!林道はおらぬか!」
と慌てふためき医師を呼ぶ梅にその場は笑いに包まれたのであった。
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