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この姫、名を梅と申し、16歳にして大層な美しい容姿を持つ。
この男、名を実吉(さねよし)と申し、16歳にして影武者となる運命を持つ。
秋も色付く十五夜の縁側で、赤に染まる遠くの空を心を痛め眺める夜、実吉は梅に寄り添い語りかけ続ける。
「 いつかきっと、終わりが来ます。姫さまが空を見て笑顔になれる日が、きっと来ます 」
梅はその言葉に救われ、願うのだった。
「 その時は、実吉も共に笑うのだぞ 」
「はい 」
2人は願う、平和な世の中で、身分も関係なく添い遂げることのできる日を。
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