昔々

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塀を乗り越え少女に追いつく実吉。 「ねえ、さっき姫様って呼ばれてたけど、君はお姫様なの?」 くるくると回りながら野道を跳ねる少女。 「そうだけど。何故?」 答えながら楽しそうに周りを見渡しながら、「はい」と咲いていた花を積み渡してくる。 「 僕の知っているお姫様っていうのは、おしとやかで、木も登らないしお城だって抜け出さない 」 渡された花を手に取り眺めながら思ったことを口にすると、少女は目を丸くした後に笑い出した。 「 あはははは、実吉は私を猿みたいに言うのね 」 「怒った?」 一国の姫に失礼な発言をしてしまったと焦る実吉に少女は満面の笑みを浮かべ、 「怒るわけないじゃない。愉快な気分よ 」 と手を引き走り出す少女。 着いたのは城下町の、たくさんの人で賑わっている市場だった。
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