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「姫様、また城を抜け出したのかい?」
「あら、姫様が連れている子は初めてみる子だね」
「ちょうど今餅が焼けたよ、食べて行っておくれ」
市場を通るとたくさんの人が少女に話しかける。
どうやら城を抜け出すのは、常習犯らしい。
一人ひとりに声を返しながらニコニコと笑う少女は、本当にお姫様なのかと勘違いしてしまうほどだった。
「 ねえ、君はいつもここに来るの?」
「 そうよ。お城ばかりにいても国のみんなと会えないじゃないの。お父様やお母様には心配をかけてしまうけれど、城下の様子をいつも聞いてくるからこんなことがあったのよって話してあげているの。お兄様は僕の分も梅には外を知ってほしいといつも言っているもの 」
どうやらこの国は、とても暖かい国のようだ。
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