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「 実吉、実吉はどうして城にいたの?私達今まで会ったことないわよね 」
団子屋の店先に掛け、三色団子を美味しそうに頬張りながら「そう言えば」と少女が問うてきた。
あたりの桜が風に吹かれて綺麗に舞っている。
実吉は答えたくなかった。「自分の家族が殺されて君の城に預けられたんだ」なんて言えるのだろうか。困らせてしまうだけだ、と。
小さく下を向くと、口に押し込まれる団子。
「!?」
驚き、顔を上げて押し込んだ犯人である少女を見る。
「 あははははは!実吉、変な顔 」
目に涙を浮かべて笑う少女。
「 聞かれたくないことならいいの。ただ、友達になって欲しいの 」
「友達、、、?」
「そうよ、友達。私と実吉は今日から友達 」
よろしく、と手を握る少女はまるで太陽のように暖かい笑顔だった。
「君、変わってるね 」
「え、なぜ!?」
実吉は、久しぶりに笑った。
そして、「よろしく」と手を握り返した。
より一層風が強くなり、辺りを淡いピンクに染めた。
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