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4 ■ 処女喪失 ■
ガムテープを巻いた苦しい胸元が気にはなったが、クラスメートは誰も俺の変化に気付いたりはしなかった。俺自身も自分の身に起こったことをまだ把握できていなかったし、布団の中でリアルな悪夢を見ている気分で、いつも通りの学校生活を送っていた。
急激に現実を突きつけられたのは、二時間目が終わってすぐのことだ。
「……翔太。ちょっと待て」
「な、なに?」
貴文とたまたま廊下ですれ違ったら、突然、腕を掴まれた。
「来い」
彼は有無を言わせない様子で俺の腕を引くと、いつもダラダラと過ごしている屋上に向かう。
(バレた? まさか、そんな……)
毎日顔を合わせる友人だって、感付いた様子はなかった。輪をかけて男に興味のない貴文が、俺の変化に気付くわけ……
「どうしたんだよ、貴文。もう授業始まるよ」
「ブレザー、脱げ」
屋上に着くやいなや、彼は開口一番そう言った。
「……」
「聞こえなかったのか? ブレザーを脱げって言ったんだよ」
「な、なんで……?」
貴文の鬼気迫る表情に、俺は愛想笑いを浮かべると一歩一歩退いた。
脱ぐなんて無理だ。不可能だ。
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